2015年9月28日

橋之助が来秋に八代目芝翫を襲名へ-本来の芝翫のイメージを復活させて欲しい

中村橋之助が来秋に八代目中村芝翫を襲名することが決まりました。最近、歌舞伎界は寂しい話題が多かったので、大名跡の復活はなによりです。

中村橋之助さん、八代目芝翫を襲名へ 来秋、披露興行(朝日新聞デジタル)

橋之助には、ぜひ八代目芝翫として初代以来の“兼ねる役者”という本来のイメージを復活させるような活躍を期待したいと思います。
2015年9月21日

『日本舞踊曲集成』の復刊を願う



よく日本舞踊は難しいと言われます。また、これもよく言われるのが「日舞は唄の文句を良く見ないと、わからないよ」ということです。確かにそうでしょう。ところが、それでは実際に唄の文句について調べようとすると、これがまた厄介なのです。そういったことを専門的に扱っているのは、ほとんどが大部の「ものの本」しかありません。しかも、流派の垣根という問題もあり、なかなか一般の愛好者が手を出せるような簡便かつ網羅的な入門書は得にくいというわけです。かくして、日本舞踊などというものは、一部特殊な愛好家のものとなってしまうのでした。そんな中、一般の愛好家のための非常に素晴らしい本がありました。演劇出版社から出ていた『日本舞踊曲集成』です。残念ながら長らく品切れが続き、古書市場でも非常に高価な本になってしまいました。こういった地味だけれども真面目な本こそ、本当に必要な本です。出版界には、ぜひ復刊をお願いしたいものです。
2015年9月6日

劇場間抗争の面白さ-『明治座物語』

(写真は家蔵本の函と本体)

木村錦花といえば、劇作家にして歌舞伎研究家であり、野田版が注目された「研辰の討たれ」の原作者でもあります。その木村錦花による劇界内幕史が、この『明治座物語』(歌舞伎出版部、昭和3年3月)です。現在のように歌舞伎興行が松竹による1社体制となっていると分からないのですが、かつては多くの興行主と役者が組んで、まさに劇場間で抗争を繰り広げていました。そんなある意味で古き良き時代の歌舞伎界の内幕を淡々と記述した本書は、読んでいて新鮮な驚きがあり、じつに楽しい本になっています。

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