2017年12月15日

雀右衛門の気概―『私事―死んだつもりで生きている』



先代中村雀右衛門の芸談・自叙伝『私事(わたくしごと)―死んだつもりで生きている』を読み直したのだが、あいかわらず実に面白かった。特に戦争体験を語る部分は圧巻だ。
2017年11月15日

再読すると趣深い若手役者論2冊―『市川新之助論』『歌舞伎修行―片岡愛之助の青春』



本棚から懐かしい本が出てきました。犬丸治『市川海老蔵』と松島まり乃『歌舞伎修業―片岡愛之助の青春』です。10年以上前に発行されたものですが、再読するとじつに趣深い。これを読んだとき、旧ブログで感想を書いていたので、転載しておきます。当時から、私はこの二人の役者に対して特別の感情を持っていたことが分かります。
2017年3月5日

むかし見た芝居6―初芝居感談(2006年1月大阪松竹座「壽初春大歌舞伎」夜の部)



最近は忙しさにかまけて芝居見物もすっかりご無沙汰です。そんなときに昔見た芝居のノートを読み直すと、いちばん芝居に熱中していた20代後半から30代初めの頃の情熱を思い出し、久しぶりに芝居を見に行きたいという気になります。今回紹介するのは2006年1月の大阪松竹座「壽初春大歌舞伎」夜の部の観劇ノート。改めて思い返すと、仁左衛門と玉三郎というゴールデンコンビの芝居を見たことは自分の観劇歴の財産。そして愛之助が全国的に注目されるきっかけも、この芝居だったと思う。同時に、あの頃は澤瀉屋のホープとして活躍していた段治郎や春猿が、今では新派へと転向したこと、竹三郎の後継者だった薪車が、今では市川九團治となっていることもまた歌舞伎界の変転を見る思いです。あと、この頃の私は「大坂の芝居とは何か」ということに異常なこだわりを持っていて、それを型の分析や声の質に対する批評で考えようとしていました。若気の至りでもありますが、やはり今でも「大坂の芝居とは何か」ということへのこだわりを持ち続けています。

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